富裕層のキホン 2018.09.10 Author立本 正樹

純金融資産額で判断する富裕層の分類と日本の人口の割合

「超富裕層」は7.3万世帯、「富裕層」は114.4万世帯

超富裕層・富裕層は増加すると予想され、2022年には380万人に

東京都には富裕層の約2割、超富裕層の約3割が住んでいる

保有する純金融資産保有額によって富裕層を超富裕層、富裕層、準富裕層、アッパーマス層に分類し、各層の世帯数を数字で示しました。超富裕層と富裕層を合わせると121.7万世帯で、日本の総世帯数に占める割合は約2.3%です。注目すべきは数年前に比べて超富裕層・富裕層の世帯数が大きく増加したこと。準富裕層が富裕層に、富裕層が超富裕層に移行してきたのです。

 

「超富裕層」は7.3万世帯、「富裕層」は114.4万世帯

 

2015年に公表された野村総合研究所(以下、野村総研)の「純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数」を見ると、純金融資産保有額5億円以上の「超富裕層」は7.3万世帯、1億円以上5億円未満の「富裕層」は114.4万世帯、5,000万円以上1億円未満の「準富裕層」は314.9万世帯、3,000万円以上5,000万円未満の「アッパーマス層」は680.8万世帯、3,000万円未満の「マス層」は4173.0万世帯でした。

 

金融資産とは預貯金、株式、債券、不動産、投資信託、一時払い養老保険、年金保険などの合計額で、純金融資産とは、それらから借入金を引いたものです。

 

日本の富裕層の割合

【出所】野村総合研究所

 

超富裕層と富裕層を合わせると121.7万世帯で、日本の総世帯数5290.4万世帯に占める割合は約2.3%です。注目すべきは超富裕層・富裕層が急激に増加していることです。

 

2013年に比べると超富裕層は35.2%増えて7.3万世帯、富裕層は20.0%増えて114.4万世帯、両者合わせて20.9%増加して121.7万世帯となりました。ピークだった2013年の100.7万世帯を約21万世帯上回り、過去最高を記録しました。

 

なぜ富裕層・超富裕層の世帯数が増えたのでしょうか。野村総研は2013~2015年の株価上昇によって各層とも資産を増やし、準富裕層が富裕層に、富裕層が超富裕層に移行したとみています。

 

超富裕層・富裕層は増加すると予想され、2022年には380万人に

 

各層の株価変動への対応力を見ると、株価上昇局面では各層とも資産を増加させますが、株価下落局面では各層の対応力に差があります。超富裕層・富裕層はリスク回避のために資産を分散させており、株価下落などの影響をさほど被りません。

 

実際、2008年のリーマンショックの際も株式や債券では一時的に損失を出したものの、売りが集中するなか、底値で仕入れ、2010年代の相場上昇で、さらに資産を増やしました。対して資産分散を徹底できない準富裕層やアッパーマス層、マス層では損失を出したケースが目立ちました。

 

超富裕層・富裕層は今後も増加すると予想され、クレディ・スイス系シンクタンクの「グローバル・ウェルス・レポート2017」によれば、日本のミリオネア(超富裕層・富裕層)は2017年の268万人から2022年には380万人に達し、人数・世帯数も米国に次ぐ世界第2位を維持すると予測しています。

 

東京都には富裕層の約2割、超富裕層の約3割が住んでいる

 

居住地から見ると、超富裕層・富裕層が一番多いのは東京都で、神奈川県、千葉県、埼玉県などの首都圏、大阪府、愛知県などが続きます。東京都には富裕層の約2割、超富裕層の約3割が住んでいます。

 

市区町村に焦点をあてると、超富裕層が最も多いのが東京都世田谷区で、大田区、杉並区、練馬区、渋谷区、目黒区、港区、新宿区、足立区、文京区と東京23区が続き、その次に、ようやく兵庫県西宮市が顔を出します。ちなみに、西宮市の次は東京都板橋区で、中野区、江戸川区、品川区と続きます(※)。意外なのは駒込、目白などの高級住宅街を持つ東京都豊島区がベスト10にランクインしていないことです。いずれにせよ、超富裕層は東京に集中しており、富裕層も、ほぼ同様の傾向を示しています。

 

ゆえに地域的な属性を考慮して、私たちは富裕層向けのセミナーを主に東京で実施しています。東京で実施すれば地方のお金持ちを呼び込むことも可能です。特に北海道・東北地方の居住者は東京へ出る心理的なハードルが低く、ことあるたびに上京しています。

 

基本的に日本は一極集中で、どの地域からも東京への交通手段は発達しています。地方の中小企業オーナーや不動産オーナーなどの富裕層の行動様式を見ると、東京開催は、むしろ歓迎される傾向にあります。不動産オーナーは時間に余裕がありますから、平日の昼間にセミナーを実施しても問題はありません。むしろ交通機関が混む休日より平日の昼間開催を好みます。

 

超富裕層・富裕層は増加しており、単純にひとくくりには語れません。職業属性や居住地属性などを考慮したマーケティングが要請されています。

 

※『図解富裕層ビジネス最前線』小林昇太郎、中経出版

LECTURER PROFILE
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立本 正樹

幻冬舎ゴールドオンライン編集長
幻冬舎総合財産コンサルティング運営「カメハメハ倶楽部」主宰

金融専門出版社にて銀行員向け月刊誌の編集長、FP向け月刊誌の編集長を経て、2012年より幻冬舎総合財産コンサルティング勤務。2013年、富裕層向け会員組織「カメハメハ倶楽部」を立ち上げ、年間200回を超える富裕層向けセミナーの企画・運営を現在も統括。2015年、富裕層向けWEBメディア「幻冬舎ゴールドオンライン」を立ち上げ、編集長を兼任。

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